製造業のデジタル化を加速するために最も大切なことは、製造現場の作業者と「信頼関係」を築くことです。
信頼関係がない人の指示には、素直には従いたくないというのが人間の基礎的な心情です。
ただでさえ、複雑な作業をこなし、無理な工期でも頑張っているのに、余計に現場作業にストレスをかけるような指示には、誰も従いたくないですよね。
しかし、信頼関係があれば、多少難しい要求でも応えてくれます。
「君が言うんだから、やってみよう!」
現場作業者と信頼関係があれば、こういった感じで現場作業者も前向きにとらえてくれます。
製造業のデジタル化を加速するためには信頼関係が大切!
製造業のデジタル化を加速するためには、現場作業者との信頼関係が必要です。信頼関係がなければ、デジタル化を進めるのは難しいかもです。
製造現場の作業者との間に「信頼関係」がないと…
ちょっと考えてみてください。
あなたが仲良くしている人から何か頼み事をされたら、快く協力しますよね?
しかし、よく知らない人から頼み事をされたら…。
- なんで私がしなきゃいけないの?
- 忙しくてそんな余裕はないんだけど…。
- それって本当に必要なの?
こういった感じで、否定的な感情がまず先にきますよね。
製造現場の作業者もこれと同じです。
信頼関係がない人から何か指示されても、なかなか素直に言うことを聞こうとは思いません。
ものづくりで人間が介入する以上、信頼関係が構築されていない人の言うことに「疑問」や「反発」が生まれるのは当然です。
なので、信頼関係がないとデジタル化を進めるのはちょっと難しいです。どこの誰かも知らない人が、いきなり
「来月からこのツールを使って生産実績を報告してください。」
こんな風に製造現場に言っても、製造現場は「はぁ?」となりますよね。
これが普通です。
製造現場の作業者と信頼関係を築くために
製造現場の作業者と信頼関係を築くためには、何でもいいので普段からコミュニケーションをとっておくことが重要です。
コミュニケーションといっても、難しく考える必要はありません。
- こんにちは!
- ご安全に!
- お疲れさまです!
など、簡単な挨拶でOKです。
挨拶に加えて、「いま困っていることありますか?」など、製造現場が抱えている問題をヒアリングし、問題解決しようとする姿勢をみせると、製造現場からの信頼はなお厚いものになります。
うわべだけのものはNGです。うわべだけの人は逆効果で、次から信頼・信用されなくなります。
製造現場の作業者と信頼関係を築くためには、
- 製造現場からの要求や期待に、しっかりと応えること。
- 要求や期待に100%は応えられなくても、応えようとする姿勢を見せること。
こういったところもポイントです。
- この人は現場の要求をちゃんと聞いてくれる。
- この人に頼めば、早く対応してくれる。
こういったイメージを製造現場に植えつけられたら、もう信頼関係は完璧です。
信頼関係の構築には「ギブ&テイク」が基本!
製造現場と良好な信頼関係を築くためには、ギブ&テイクが基本です。
少人数での作業、工期短縮、何かと製造現場は「無理」を言われがちですが、次から次へと無理なことを押し付けられるのは堪ったもんじゃないですよね。
製造現場の立場からすると、ギブ、ギブ、ギブ。
ギブだけで、テイクが1つもないといったことが多々あります。こういった状況が製造現場の強いストレスになっていることが多いです。
なので、製造現場と良好な信頼関係を築くためには、製造現場にとって「テイク要素」があることを考慮し、しっかりと理解してもらうことが重要です。
製造現場にとっての「テイク要素」とは?
例えば、
「来月からは、このツールを使って生産実績を報告してください。」
こういった指示を製造現場にするのであれば、
- 来月からは、これまでの「紙」での生産実績の報告は不要です。
- このツールに生産実績を入力すれば、毎月3時間かけていた集計作業が不要になります。
こういった感じで、製造現場の作業者にとって「メリット」があること、つまり、テイク要素があることをしっかりと伝えることが重要です。
「このツールを使うことで、作業者が今までよりもっと楽になる」というところが製造現場にとっての「テイク要素」です。
この部分を強調し理解してもらえれば、多少ハードルの高い要求や指示でも、製造現場は受け入れてくれすはずです。
信頼関係があれば製造業のデジタル化が加速する!
デジタル化によって開発/導入されたツールやシステムは、結局のところ、エンドユーザである作業者が使うことになります。
信頼関係があれば、「君が言うんだから使ってみよう!」という感じで、多少無理があってもこうしたツールやシステムの利用を受け入れてくれます。
今、あなたに製造現場との信頼関係がないなら?
デジタル化の推進プロジェクトなどで、製造現場に何か依頼することがあったとします。
そのとき、製造現場との信頼関係がない状態だったと、あなたはどうしますか?
方法は2つあります。
- これから製造現場と信頼関係を築く。
- すでに信頼関係を築いている人を経由する。
①これから製造現場と信頼関係を築く
まず、これから製造現場と信頼関係を築いていくという方法ですが、これはあまりおすすめしません。
長期的にみればこの方法が最も合理的ですが、プロジェクトなのでそんなに時間をかけるわけにはいきません。
信頼関係を築くのに6ヶ月、プロジェクトは2年間。
この場合、実に4分の1を信頼関係を築くのに使ってしまいます。これではプロジェクト活動がなかなか進みません。
②すでに信頼関係を築いている人を経由する
プロジェクト活動であれば、すでに信頼関係を築いている人を経由するのが最も有効な方法です。
イチから信頼関係を築く必要はありませんし、すでに信頼関係を築いている人から依頼すれば、事がスムーズに進むので話が早いです。
もしくは、信頼関係を築いている人から「顔合わせ」的な感じで紹介してもらうのも1つの手ですね。
僕の経験上、紹介者の信用を借りれば、どこの誰かも知らない人よりかは、比較的製造現場の作業者も受け入れてくれますよ。
まとめ
今回は、製造業のデジタル化を加速するために最も大切なことを紹介しました。
製造現場の作業者との信頼関係を築くことでしたね。
意外と注目されていませんが、人がツールやシステムを使っていく以上、こうした人間関係的な部分が本当に大切です。
信頼関係がなければ、なかなか前向きな協力を得られません。
製造業のデジタル化を加速したいなら、製造現場の作業者と信頼関係を築くことに、まずは注力してみてください。